2014/9

発明を奨励する会とは

発明を奨励する会とは

知的財産の創造

知的財産立国は、まず、知的財産を創造することから始まる。

富を生む知的財産を創造するには、技術者に発明の動機付けを与える必要がある。それには、技術者の目の色を変えさせる仕組みが必要である。

発明者が得る発明の対価の大小は、発明に対する会社の評価を表している。富を生む発明の発明者を会社が尊重し、発明が生み出した超過利益の一部を対価として発明を会社に譲渡するのであれば、技術者は自らの人生を掛けて会社からより高い評価を受けるべく、富を生む発明をしようとするだろう。

職務発明制度で21世紀をリード

「事業の損失を分担しないサラリーマン(発明者)に利益の一部を分配するなんてとんでもない」という批判がある。しかし、特許法により、職務発明は、使用者ではなく発明者に帰属している。発明者は、無償で職務発明を会社に譲渡しているのであるから、発明にかかる事業の核心部分に実質的に投資しているのである。しかも、従業員発明者に分配されるのは、通常利益とは別の、超過利益の一部でしかないことに注意されたい。

民主主義、裁判所、株式会社など日本の社会の枠組みは、明治以前の日本にはなかった。すべて欧米発であり、明治維新後に輸入された。
それでは、日本の枠組みの方が優れているかもしれない、と米国、欧州が警戒心を持つような日本発の枠組みがはたしてあったであろうかと考えるに、筆者にはおよそ思い当たるものがない。

人類史上三回目の富のルールの転換期(*)である知的財産時代到来の号砲が鳴ったばかりの二十一世紀初頭に、日本は、「職務発明制度」という国の産業の盛衰にかかわる日本発の独創的な枠組みをつくり出し、すでにその第一歩を踏み出していた。このようなことは、日本の長い歴史の中でかつて無かったことと言えよう。     (*)右記「注目のコンテンツ」「職務発明制度の意義」参照

「発明を奨励する会」は、知的財産の時代に、日本が発明によって得た超過利益の一部を従業員発明者へ分配するという日本発の枠組みによって成功し、他国がこの枠組みを後追いするようになってほしいと願っている。

「発明を奨励する会」は、発明を奨励し、産業が活性化するための仕組みとして、「職務発明制度の維持」の必要性を発信している。

2014年3月

代表 升永 英俊(弁護士)
代表 中村 修二
(カリフォルニア大学サンタバーバラ校 教授)
「発明を奨励する会」
連絡先:Email info@forinvention.org
お問合せ、メッセージ用フォーム

職務発明制度の意義

日本発の職務発明制度の意義

ここ数年、特許法35条の改正、職務発明対価訴訟により企業の職務発明の報奨金制度に大きな変化が見られる。東芝では、複数の発明によって年3000万円を超える金員を得て、給与と合わせた年収が社長のそれを上回る技術者がいる、と毎日新聞(2006.1.12朝刊)は報じている。大企業で、社長以上の年収を得る社員が生まれたということは、明治以来初めて起きた歴史的出来事である。又、三菱電機では、2005年実績については現在調査中であるが、「支給最高額は3000万~4000万が予想されている」、と東洋経済(2006.10.7)は報じている。三菱化学では、共同発明者全員に対し、合計2億5000万円を支給した実績がある、と日経新聞(2004.2.28)は報じている。 Read more

職務発明とは

職務発明とは

〈Wikipediaより引用〉
職務発明(しょくむはつめい)とは、「従業者等」(会社の従業員など)が職務上行った発明のことであり、「使用者等」(会社など)は職務発明を発明者である従業員から承継することを勤務規定などによってあらかじめ定めておくことができる(特許法35条2項の反対解釈)。会社が従業員から職務発明を承継した場合、会社は相当の対価を従業者に支払わなければならない(特許法35条3項)。
この規定に基づいて会社に対して200億円の支払いを命じる判決がでたこともあり(東京地裁平成16年1月30日判決「青色発光ダイオード事件」、その後高裁で和解。詳しくは後述)、社会的にも職務発明が注目されるようになった。

スライドでみる職務発明の意義

スライドでみる職務発明の意義
(職務発明は後払い形式であること)

職務発明制度は、あくまで、発明が超過利益を生んだ際の、その超過利益の一部の分配を後払い方式で、従業員発明者に分配制度である。
 スライド「知的財産の時代に、日本初の職務発明制度が果たす役割」(弁護士 升永英俊)
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特許法35条

特許法35条

(職務発明)

第三十五条 使用者、法人、国又は地方公共団体(以下「使用者等」という。)は、従業者、法人の役員、国家公務員又は地方公務員(以下「従業者等」という。)がその性質上当該使用者等の業務範囲に属し、かつ、その発明をするに至つた行為がその使用者等における従業者等の現在又は過去の職務に属する発明(以下「職務発明」という。)について特許を受けたとき、又は職務発明について特許を受ける権利を承継した者がその発明について特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。
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